あらすじ

バスケットボール部マネージャーの加奈は、容姿と才能に恵まれ、常に華やかな世界の中心にいた。しかし、その内面は虚しさを抱え、完璧な彼氏、ユウタが才能にあぐらをかく姿にうんざりしていた。 そんな加奈が見つけたのは、華やかな舞台の隅で「ボール拾い」と揶揄される宗太。ひびの入った眼鏡をかけ、誰にも見られず、ただ黙々とシュート練習を続ける彼の姿は、加奈がこれまでの人生で追い求めてきた「華やかさ」が、いかに薄っぺらいものだったかを気づかせる。 ある試合中、ユウタが怪我をし、宗太がコートに立つことになる。彼のプレイは、加奈が練習で見ていたひたむきな努力の結晶だった。的確なパス、正確なシュート。それまで彼を馬鹿にしていた誰もが、その実力に驚愕する。 宗太の活躍によって勝利を収めた後、加奈は彼に駆け寄る。 「あなたの努力、ずっと見てたよ」 加奈の言葉に、宗太はこれまでの人生で見たことのない光を瞳に宿し、告白する。 「俺がバスケ部に入ったのは、加奈がいたからです」 周囲の喧騒が遠ざかり、二人の世界だけになった時、加奈は彼のひび割れた眼鏡にそっと手を伸ばした。それは、彼女が外見ではない、彼の本質と向き合う決意の合図だった。 静かで温かい光に包まれた二人のキスは、それぞれの新しい世界の扉を開く、始まりの合図だった。

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小説を読もう2025/08/21
  • 現在の作品ひび割れた眼鏡の向こう