あらすじ
プロローグ
朝の光が、薄いカーテンを通して寝室に差し込む。
私は目を覚ますたびに、ふとした胸の痛みに気づく。
隣で眠る夫の呼吸は深く、規則正しい。けれど、その温もりは私に届かない。
「もう、何かが足りない…」
その思いを飲み込みながら、私は台所へ向かう。小さなシンクでコーヒーカップを温める手が、知らず知らず震えている。
冷めたミルクの匂い、昨日の残りのパンの香ばしさ。日常のすべては無難に揃っているのに、心はぽっかりと空洞のまま。
セックスレス。言葉にすればたった四文字。
でもその四文字は、毎晩私を眠れなくさせ、鏡の前で自分を責めさせる。
「私…まだ女でいたいのに。」
思いを押し殺すたび、胸の奥で何かがざわつく。
誰にも言えない、この渇き。
そして、ふと目に入るスマホの画面に、見知らぬ誰かのメッセージが届く。
それは無垢な興味から始まるはずの、けれど決して許されない誘惑の始まりだった――