あらすじ
「次の方、お待ちですか? どうぞ」
古びた雑居ビルの一室。開け放たれたドアには、触れるとじゃらじゃら音を立てるビーズカーテンが垂れている。その向こう側から呼ばれ、おれはカーテンをくぐって中に足を踏み入れた。
部屋の壁には、重く垂れた紫のカーテン。棚にはカラスの剥製や、得体のしれない植物の根が詰まった瓶がずらりと並んでいる。イタコというより、西洋の魔女が住んでいそうな部屋だ。
部屋の中央には、深いワイン色のドレープのクロスがかけられた丸テーブルがあり、その向こう側には中年の女が座っていた。女はテーブルの上で両手を組み、静かにおれを見つめている。
今夜、おれは雑誌の記事をきっかけにここへ来た。曰く、この霊媒師は本物の降霊術を使えるらしい。人気の店と聞いていたので、かなり待たされるかと思ったが、先客は一人だけだった。おれはその客が出てくるまで、外で煙草をふかして時間を潰していたのだ。
「さあ、そこへお座りください」