あらすじ
かつて“天才少年”として数学界で名を馳せた高校生・一ノ瀬悠真(いちのせ・ゆうま)は、ある事件をきっかけに表舞台から姿を消した。今は無名の県立高校で目立たぬように数学研究部で静かに過ごしている。彼の頭脳は鋭く、だがその心は閉ざされていた。
ある日、転校生の少女・相良紬(さがら・つむぎ)が数学研究部に入部してくる。明るく、人懐っこく、数学は正直苦手。でも「昔の一ノ瀬くんに憧れてた」と語る彼女の瞳は、真っすぐだった。
「もう俺は終わった人間だ」 「じゃあ、今のあなたに恋した私はどうなるの?」
彼女の純粋さに触れるたび、過去の傷と向き合うことになる悠真。かつての仲間との因縁、封印された大会の真相、そして明かされていく“ある嘘”と“証明されなかった想い”。
数学は世界の真理を解き明かす力を持つ。 ならば――恋もまた、証明できるのだろうか?
閉ざされた心と心が、再びひとつの式になって重なり合う。
「これは、ひとつの恋の定理を導き出す物語」