あらすじ
太陽フレアが文明を破壊し、弱肉強食が支配する「国際諜報都市カレイドポリス」。飢えと渇き、そして絶え間ない闘争の中で、人々は生命をすり減らしていた。
元エージェントの女、有栖川玲もまた、心身ともに限界を迎え、廃墟の街をさまよっていた。死を目前にした彼女が、腐敗と硝煙の匂いの奥にかすかに嗅ぎ取ったのは、ありえないはずの「食べ物」が焼ける香ばしい匂いだった。
匂いに導かれた先で彼女が出会ったのは、一枚の不思議な「芋餅」。それは、ただの食料ではなかった。一口食べた瞬間、彼女の身体と運命は劇的に変化する。これは、失われた世界の片隅で、一片の「食」から始まる、生存と反逆の物語。
登場人物紹介
有栖川 玲(ありすがわ れい)
主人公。元諜報員。極限の飢餓状態にあったが、謎の「芋餅」を食べたことで超人的な回復を遂げる。冷静沈着で卓越した戦闘能力を持つ。亡き恋人・渉の遺志を継ぎ、芋餅を巡る争いを終わらせることを決意する。
高遠 渉(たかとお わたる)
玲の元恋人であり、諜報員時代の先輩。故人。月の芋の危険性を察知し、その軍事利用を企む「巨大な影」の陰謀を追っていた。玲に月の芋の種芋と未来への希望を託す。
甲田 真城(こうだ まさき)
武装集団「シルバーウルフ」の首領。痩身ながら狼のような鋭い光を瞳に宿す男。弱肉強食を是とする冷徹な現実主義者だが、玲の並外れた能力に気づき、共闘を持ちかける。
名もなき少年
旧市街のチャイナタウン跡地で芋餅を焼いていた少年。飢えた獣のような鋭い目つきで、過酷な世界を生き抜いてきた。玲に芋餅を渡したことが、物語が大きく動き出すきっかけとなる。