あらすじ
ニワトリは、恐竜の子孫──。
仕事で忙しい母親からそう教えられた少年ユウタは、里山で一人、孤独に過ごす日々を送っていた。
彼の唯一の楽しみは、恐竜の化石が眠るという里山の土をいじること。ある日、ユウタは畑で不思議な模様が刻まれた石を見つける。それは、彼だけの特別な宝物になった。
その夜、鶏小屋の卵を温めていると、一つだけ青く光る奇妙な卵を見つける。他の卵と違い、かすかにゴロゴロと唸るその卵を、ユウタは不思議に思いながらも大切に温めた。
数日後、卵から生まれたのは、翡翠色の鱗を持つ奇妙な生き物。ユウタは、その子に「ルー」と名付け、密かに育て始める。
ルーの成長は驚くほど速く、ユウタは彼の存在を隠すために必死になる。母親に見つかるかもしれないというスリルと、秘密を共有する喜び。ルーはユウタにしか心を開かず、二人の間には言葉を超えた深い絆が生まれていく。
しかし、満月が輝く夜、ルーが首から下げていた光る石が、青白い光を放ち始める。それは、ルーが帰るべき故郷からの呼び声だった。
別れを覚悟したユウタは、涙を流しながらもルーを抱きしめる。彼が注いだ無償の愛が、ルーの眠っていた本能を目覚めさせ、太古への扉を開いたのだ。
ルーが去った後、庭には温かい静けさが残された。ユウタは、ルーとの出会いが偶然ではなく、すべてがこの瞬間のための「必然」だったと悟る。
これは、孤独な少年と、悠久の時を超えてやってきた命との、切なくも温かい絆の物語。
愛する者との別れは、本当に終わりではないのだろうか──。