あらすじ
華やいだ令嬢たちのお茶会が、狭いドローイングルームで開かれている。
「次の結婚はきっとクララね」
「え、私?」
突然、自分の名前が出て、持ち上げていたカップを慌ててソーサーの上に置いた。
「そうよ!だって幼馴染で、他の人が入る隙なんて全然ないって感じだもの」
「分かるわー。幼馴染特有のお互いのことは何でも分かっていますっていう、あの感じ!羨ましい!」
「私は、いかにも恋人ですっていう感じの、あなた達が羨ましいわ。私たちは恋人というより家族みたいだし」
そんな話をした帰り、ケイティに呼び止められる。
遠慮がちなケイティの口から聞かされたのは、婚約者であるトリスタンが複数人の女性と浮気をしているという信じられない話だった。
「見間違えじゃないかしら?彼に限ってそんなこと」
思わず笑ってしまった。彼は真面目で、責任感が強く、信仰心も篤い。誰かを裏切るようなことは絶対にしない。
一番信頼できて、自然体でいられる相手。
だから屋敷に会いに行った時、笑い話のように言ってしまった。
「トリスタン、聞いて。私の友人があなたが浮気しているなんて言うのよ。それも複数の女性と」
そんなわけないだろう、って笑ってくれるはずだった。