あらすじ
「見られるのが、怖い——けど、本当は見てほしかった。」
灼けるような夏の日。
無口でパーカーが手放せない赤井丹(あかい に)と、元気で人懐っこい緑田萌葱(みどりた もえぎ)は、ちょっとした気まぐれで海へと向かう。
日差し、波の音、ひとことの褒め言葉。そして、何気ない“写真を撮る”という行為——
自分の殻に閉じこもっていた丹の心が、少しずつほどけていく一日を描いた、静かな“脱皮”の物語。
心を守る鎧は、いつか誰かの言葉で外れる。
そのときのまぶしさに、どうか目を向けてほしい。
赤井 丹(あかい・にいろ)
人前では無口で無表情。真夏でも長袖の赤いパーカーを手放せない、繊細で人見知りな高校生。
他人の目線に敏感で、「見られる」ことに対して強い警戒心を抱いている。
だが内には、他人とのつながりへの淡い憧れも…。
「似合ってるよ」と言われることに、慣れていない。
緑田 萌葱(みどりた・もえぎ)
快活で感情豊か、ちょっと図々しいけれど、根っからの“優しいおせっかい”。
丹とは対照的に、自分をあまり飾らず人と自然に関われる性格。
しかし、無神経にはならず、丹のことも言葉や距離感でちゃんと見守っている。
彼女の言葉は、軽く聞こえて実は重く、丹の世界に変化をもたらしていく。