あらすじ
東北大学の出向研究員・物部素子(もののべもとこ)は、院生の論文を査読するうちに「観測」をめぐる議論を課す。
日が暮れる中で思索と実験めいた対話を続けるうち、彼女は机上の小さなアルミ箱と自分の記憶に奇妙なずれを感じる。
翌日、大学の記録には彼女の痕跡が消え去っていた。
記録と記憶、観測と存在──量子的な問いが日常の輪郭を侵食するとき、何が「確か」なのかを短い余韻で突きつける。
最新の量子因果や時間の議論に触発されたショートショートSFミステリー。
名刺代わりの短編作品です。
参考というかヒントを得た文献は以下のものです。
仮想の閉じた時間的曲線の量子シミュレーションによって確立された計測学における非古典的優位性 - Physical Review Letters
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.131.150202