あらすじ
ベルサイユ学院――フリューゲル王国でも屈指の名門校に、新入生たちの華やかな歓迎会が開かれていた。地方の貧乏伯爵家の七男、ハルト=アルゼットは、質素な礼装ながら背筋を伸ばしてその場に立っていた。彼は“下級職業”である《剣士》として騎士科に入学し、努力と誠意を胸に秘めていた。
その日、彼には重大な役目があった。名門エスパダ伯爵家の令嬢であり、婚約者でもあるアナスタシアを舞踏会でエスコートすること。しかし、会の途中で彼女は壇上に立ち、皆の前で一方的に婚約破棄を宣言する。
理由は明白だった。「彼が《剣士》であること。それだけです」と、アナスタシアは冷酷に断じた。名門の家にふさわしくないと。学費も援助も打ち切られたハルトは、文字通り学院で最下層に突き落とされる。
さらに侯爵家三男ロラン=フィオレが現れ、上位職《魔剣士》としてアナスタシアに名乗りを上げた。人々の前で辱められながらも、ハルトは静かに宣言する。
「ボクは諦めない。剣士でも、必ず上を目指してみせる!」
その夜、学院の裏山にある剣聖《カール=キリト》の墓を訪れたハルトは、1年間毎日祈り続けてきた場所で心の内を吐き出す。そして静かに剣を掲げ、誓いを立てたその時――。
「一年間、よく頑張ったの」
突然、目の前に青年が現れる。銀髪に蒼い瞳。彼こそ、百年前にこの大陸を救った伝説の剣聖・カールだった。
カールは言う。「本当に誰よりも強くなりたいか?」と。ハルトが迷いなく「はい」と答えると、カールは微笑み、試練として彼に剣を向ける。
始まったのは圧倒的な実力差の打ち合い。だが、ハルトは必死に食らいつき、偶然ながらもカールの頬をかすめる。
「見事だ、小剣士!」
そう笑ったカールは、ハルトの覚悟と剣に懸ける信念を認め、己の魂を託す。眩い蒼い光に包まれ、ハルトはその場に倒れる。
だがその心には、確かに剣聖の誓いと力が宿っていた。
この夜、最下位の“剣士”ハルト=アルゼットは、《蒼き剣士》として新たな運命を歩み始めたのだった。