あらすじ

『桜が咲いたら一緒に花見をしようね……きっと、とても綺麗だよ』  自分の隣りで肩を寄せ合い、まだ春の訪れには少し早い肌寒い中、木々の隙間から見える満天の星空を見上げながら、そう約束した女がいた。  日焼けをしていない肌は白く、綺麗な長い黒髪は細く柔らかな感触を今でも覚えている。  桜の木の蕾はまだ固く結ばれている、桜を一緒に見ようと言う約束は守れそうにない、丸一日水も食事も与えられず欅の木に繋がれて、声を上げれば六尺棒で殴られ耳を削がれた、片耳はもう感覚も無く、何も聞こえない、凍りつくような寒さで痛みも麻痺していた。 「おい…とうとう偽官軍が処刑されるのだと言うぞ」  様子を見に来た村人達の声は自分達にはもう届かない、今は細い道を歩いている、いや……歩かされていると表現するのが正しい。  ここは甲州街道の終点地、諏訪大社の脇道を引き摺られるように下りていく、緩やかな下り坂でも今の自分達には辛い坂だった。 もう、自力で歩く力すら残ってはいない。  目を開けているのも辛い、そんな自分前を堂々と胸を張り上を向いて歩いている男がいた。  幼い頃、この大きな背中を命を掛けても守ると誓った人だ……今日、この人と共に死ぬ。  だけど、後悔はしていない、生死を誓い合った同志と共に、この命の灯火は息を吹きかけた蝋燭の様に消えて逝くだろう。  自分達の命がお前のいる未来の礎になるならば喜んでくれてやろう。  全ての罪を背負って……  だから……………泣くな  お前が見届けるんだ   俺達の生き様を……  このお話しはタイムスリップを含みます、主人公は守られるタイプの女子高生です、そんな設定が苦手な方はここでお帰り下さいませ。  これは幕末の実在した人物をえがいた小説であり、朝日新聞襲撃事件とは全く関係がありません。また、作者は素人ですので誹謗中傷はおやめください。  その上であえて史実とは異なる表現をする事もあります、登場人物は主人公及び現代編に出てくる人物、創作キャラ以外実在した人物も存在いたしますのでご注意下さい。  幕末、相楽総三ら草莽の志士は時代の夜明けを信じ命をかけて戦いました、彼らがやってきた事は完全な正義ではなかったかもしれません、世間ではゲリラ隊だと罵る方もいるでしょう。  ですが、彼らはそれが世の為と信じ、嘘偽りなく生きて来たのです。  その想いを知って下さい。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
エブリスタ
エブリスタ2017/03/14
  • 現在の作品緋焔の心