あらすじ

春の雨が桜の花びらを散り急がせていた。  俺は雨に脱がされていく桜の木をボーッと見ていた。  生ぬるい春風は冬の残り香をはらんで時折強く吹いた。  小糠雨が風に乱れて俺の頬を濡らした。  気持ちいいと思えるには少し温度が足りなかった。  あの時から十年。  俺は毎年この時期になると、桜を見るためにこの公園に来ていた。  なんとなく会える気がして。なんとなく会えない気がして。  ポケットから一通の手紙を取り出した。  薄いピンクのシンプルな封筒に、同じ色合いの便箋が入っている。  そこにはたった一言のメッセージが書いてある。  あの時から十年。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
エブリスタ
エブリスタ2023/03/07
  • 現在の作品それは桜の季節のように駆け抜けたふれあいで