あらすじ
その日、人々は日本橋伝馬町にある牢屋敷の前に集まっていた。
これより市中引き回しの末、打ち首に処されるのはかの永代橋崩落の元凶を作ったという大悪党、橋大工の利助である。
死者四百四十名。行方不明者重軽傷者を合わせれば、実に千四百人もの犠牲が出たかの事故。
父を、母を、子を、友を返せと集まった人々は怨嗟にその目を燃やしている。
「お地蔵様、はじめました」
だが、門の向こうから現れたのは、僧侶のように法衣をまとう利助の姿であった。
歴史に名を残す永代橋崩落と、その事故で子を亡くした橋大工お話。