あらすじ
中野竹子。後に会津戦争で婦女隊の一員として戦う彼女が現在彷徨っているのは、上野の東叡山。
歴代の徳川将軍菩提寺たる寛永寺があるこの山に、最近化物が出没すると聞く。竹子は怒る。将軍安眠の地を汚す者があろうとは。
だから、毎夜竹子は東叡山の見回りをしているのだ。
そんな彼女の頭上に声をかける者がある。
虎頭有翼の異形。これこそが噂の化物に違いない。
異形は言う。
己こそは第二次長州征伐の頃に没した、第十四代将軍、徳川家茂であると。
これはまかり間違っても恋の話なんかじゃない。
ただ、寂しい男と女が出会った、ただ、それだけ。