あらすじ
公爵令嬢フィオナ・リンドバーグは、乙女ゲームの『悪役令嬢』としてこの世界に転生した。
本来ならば、王子との婚約を破棄され、平民出身のヒロインに断罪され、 追放エンドを迎える運命。だが、フィオナにはただ一つ、他の転生者とは決定的に異なる点があった。
——彼女は、前世の記憶をすべて保持したまま転生していたのだ。
その前世の名は『カゲ』
国家規模の任務を請け負っていた、伝説の暗殺者だった。
感情を切り捨て、刃を研ぎ、毒を操り、死を与えることに一切の迷いを持たなかった冷酷無比な存在。
そして今、彼女は『悪役令嬢』という仮面の下で、再び裏の任務に身を投じている。
その標的は、この国の真の黒幕であり、ゲームではラスボスとして描かれていた若き宰相——クロード・ド・ラ・ヴァリエール。
フィオナは王家直属の密命を受け、彼の排除を唯一の使命として動いていた。
そして今まさに行われている「悪役令嬢断罪イベント」――それは、黒幕を引きずり出し、処刑するための完璧な舞台装置にすぎない。
断罪されるはずの悪役が、断罪者を『始末』する。
裏の手段で、正義を偽る者に鉄槌を下す。
これは、悪役令嬢として生きる元・最強暗殺者が、腐敗を葬るために動く——一夜限りの処刑劇である。