あらすじ
2020年3月13日完結!!
5月30日より、後日談をまとめた「グスクの海ーAfter story 」を全篇一挙掲載中です。
琉球統一後のテダの百歳を、息子アマワリの乱から後継者・月清を見出すまでを描いていきます。
しよりの御ミ事
えすまきりののろハ
てぃるるにたまわり申候
しよりよりてぃるる方へまいる
これは、シュリグスクの広間で、ティルルが思紹より貰った辞令書の文面である。
「うわー、私、神女さまになったんですね」
大和紙に書かれたその辞令書を受けとって、ティルルははしゃいだ。
中山王である思紹の印が二ヶ所押された正式のものである。
「まだ見習いだが、これからは正式の神女になったものとして励んでおくれよ」
思紹が優しく声をかけると、
「ありがとうございます!がんばります」
しかし、ティルルの兄の喜屋武は・・・・。
「おめーも神女に見習いとはいえ、なっちまったからいっとくが、どだい政治なんてものは傍目で見るほど立派なもんじゃねえ。歴史に参加するなんてのは生易しいことじゃねえ」
歴史というものは常に動いている。
それは苛烈で厳しいものだ。
おめーが神女になりたければ、それもいいさ。
だができれば、それは少女時代の思い出だけにしておけ。
政治の上で生きるなんぞ常人がすることじゃねえ。
「炎の中で生涯を終わりたければ、それでもいい。だが、ティルル。おめーに、そんあ人生はにつかわしくねえよ。もっと穏やかに生きるんだ」
このときのティルルには「炎の中に」といった兄の言葉が、よもや現実のものになろうとは思いもつかなかったのでした。
15世紀前半ー本土は室町時代の頃ー。
当時の沖縄は琉球と呼ばれ、北山・中山・南山の三つの勢力に分かれて抗争を続けていた。
北山には、南北朝の動乱から逃れてきた南朝の皇女ウトゥタル、
中山には、久高島出身の神女(ノロ)テダ、
南山には、高麗の皇女ワカウビ、
とそれぞれ若き女性盟主をたてて、たがいにしのぎを削り、その状況が永遠に続くかと思われたそのとき、こつぜんと一組の武将と少女が現れたー。
その名を、護佐丸・ティルルという。
鎌倉武士の護佐丸と琉球紬の職人出身であるティルルが、琉球を統一して、南国に楽園を築くまでの物語を、尚王朝による琉球建国の史実の中で描いていきます。
※筆者は、沖縄県出身ではありません。