あらすじ

寤寐思服《ごびしふく》   ―――― 『斉は知っているのか  飛王を案じている  迎えは要らない  頃合いを見て斉に行く』 これが昨日、自分の目の前で美婉の手から飛び立った密書の内容か。宇軒は眉ひとつ動かさず腕を伸ばして、蝋燭の火で紙を燃した。 「見えてきたな」 斉が簫に戦を仕掛けた理由が。侵略行為があったなどと勿体ぶった言い方をしているが、実際は傾国の美女が目当てだろう。 「どうしますか」 宇軒は突然不敵に笑い出した。そして案じる天祐の顔を見て満足気に頷きながら言った。 「“王妃”、乾坤王妃か……、実に良い」 「王爺…」 「引き続き調べよ。私は王妃の世話がある」 「王爺!?」 引戸はあっという間に閉められてしまい、天祐は困り顔で頭をかいた。 王爺のことだ。何か考えがあるのだろう……。 しかしこの変わり様といったらどうしたことだろう。女人など用のある時に適当に呼びつけ、用がなくなれば蝿よりも疎ましいと捨てた。どれもこれも一日しか用がなかった女人ばかりだ。女人の為に時間を割き、衣装を選び、宝石を選び、機嫌を取り、粥を口に運ぶような真似をするとは。変われば変わるものだ。

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エブリスタ
エブリスタ2018/01/09
  • 現在の作品寤寐思服-ごびしふく-