あらすじ
寤寐思服《ごびしふく》
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『斉は知っているのか
飛王を案じている
迎えは要らない
頃合いを見て斉に行く』
これが昨日、自分の目の前で美婉の手から飛び立った密書の内容か。宇軒は眉ひとつ動かさず腕を伸ばして、蝋燭の火で紙を燃した。
「見えてきたな」
斉が簫に戦を仕掛けた理由が。侵略行為があったなどと勿体ぶった言い方をしているが、実際は傾国の美女が目当てだろう。
「どうしますか」
宇軒は突然不敵に笑い出した。そして案じる天祐の顔を見て満足気に頷きながら言った。
「“王妃”、乾坤王妃か……、実に良い」
「王爺…」
「引き続き調べよ。私は王妃の世話がある」
「王爺!?」
引戸はあっという間に閉められてしまい、天祐は困り顔で頭をかいた。
王爺のことだ。何か考えがあるのだろう……。
しかしこの変わり様といったらどうしたことだろう。女人など用のある時に適当に呼びつけ、用がなくなれば蝿よりも疎ましいと捨てた。どれもこれも一日しか用がなかった女人ばかりだ。女人の為に時間を割き、衣装を選び、宝石を選び、機嫌を取り、粥を口に運ぶような真似をするとは。変われば変わるものだ。