あらすじ
数十年に一度開花する熊笹の花は凶兆の前触れとして伝わっており、この年にこの花を見た農夫(源蔵)はかつての飢饉から一揆へ展開した思い出を息子に語っていた。そこに現れた宗兵衛は、かつての一揆で犠牲となった庄兵衛の息子であり、源蔵と共にこの花が凶兆をもたらさないように危惧していた。しかし、間もなく天候不順にウンカの飛来が始まり、宗兵衛は虫追いの手立てを講じた。それでも被害は相当なことになったが、昨年と同様の年貢を取られてしまった。
年が改まり食う物が少なくなった頃、源蔵が宗兵衛の屋敷を訪れて窮状を訴えると共に一揆を思わす言葉を付けたした。かつての一揆で親父を亡くしている宗兵衛は今少しの様子見を話したが、源蔵が動いた。かつての一揆に加わっている源蔵は檄文を起草し全村の庄屋を集めると、一揆の発動を宣言した。二千人を動員した一揆で藩は折れ嘆願が認められることになったが、その後強訴の罪で連判者全員が捕らえられた。この内、宗兵衛と源蔵は斬首の沙汰を受け、語ったのは熊笹の花に生まれ変わり、変わった世を見る願いであった。
それから三十年が経ち熊笹の花がひらいた年、この村では凶兆を諫める思いから庄兵衛、宗兵衛、源蔵の義人碑を建てた。その願いを申し立てたのは、源蔵の息子であった。