あらすじ
①鷹は翔んだか?
今川家の重臣、孕石元泰は隣屋敷から飛来する隣に住む三河の“小倅”が放つ鷹に辟易としていた。数年後、その“鷹”と意外なところで彼は再会する事になる…。
②大魚は戻るのか?
三河の土豪の子息で、人質である松平元康に娘、瀬名を嫁がせた関口親永は困っていた…。
婿の松平元康が三河より戻らないのである。
③龍を見たか?
松平元康から徳川家康と名乗りを変えた男が遠江に侵攻し始めた。
遠州の国人領主らは彼を“龍”と見ていた…。
そして、その矜持のままに生きていく。
引馬城主の飯尾連龍の妻、お田鶴も…。
④犬と猿は戻るのか?
天正八年(一五八◯)、家康の家臣で叔父である水野藤十郎忠重に、信長から急使が来た。
これが、家康の人生の分岐の一つとなる遠州高天神城包囲戦の始まりである。
⑤龍の子は、龍か?
天正十八年(一五九〇)の八月、徳川家康は秀吉から、関東移封を命じられた。
徳川譜代の家臣らが新たな知行を賜る中、徳川(松平)に次ぐ家である酒井家次に下賜されたのは、三万石という少なさだった。
それを聞いた大久保忠世は11年前の出来事を思い出していた…。
⑥誰が虎を殺したのか?
天正十年(一五八二)六月信長が本能寺で“消えた”
家康は未曾有の危機に瀕することになる。
誰が、“神”たる信長を殺したのか?
黒幕は誰なのか? そして、信長は神か、虎か?
⑦鼠は笑うのか?
天正十四年(一五八五)、家康は悩んでいた。
天下の行方は、秀吉か、北条か?
秀吉は、元は尾張の貧農の出であり、家康は認めたくなかった。だが天下の勢いは秀吉にある。
その中、家康の謀臣、本多正信が“提案”をする。
やがて、秀吉の異父妹の“鼠”がやって来た。
⑧犬は憐れなのか?
小田原征伐が終わってから、暫くが経ったある日、浜松城に井伊直政が来て主君家康に面会を求めた。
その後日、彼の家臣で与力(寄騎)の近藤秀用が「旗本(家康の直臣)に、戻してくだされ」とやって来た。
⑨友は、鷹か?
その男に最期の時が迫っていた。
徳川家康は駿府城で病に伏していた。
そこに本多佐渡守正信が来た。
「父上は、大御所様(家康)と殉死しないのですか?」
息子の正純に問われ、正信は苦笑した。
「まだ、やらねばならぬ事がある」
正信は決意していた。