あらすじ

京の夏、町衆をときめかすのが祇園会と四条河原の夕涼みである。弥兵衛は、洞穴の老人が繋ぎを付けてくれた大黒屋の一人娘智里と下駄屋の息子勘蔵に案内され祭りの夜を見物した。祇園会では絢爛華麗な風情にすっかり魅せられ、四条河原の夕涼みでは粋な寛ぎに雅を感じさせられた。その帰り際の五条橋で娘二人を連れ去ろうとする武士を諫めた時、雑色の吾平と顔見知りになった。  そんな夏の行事が終わった頃、後に西陣焼けと呼ばれる大火が発生した。騒然とし始めた町の様子に居たたまれず、弥兵衛は北に向かって駆けだしたが一条通りに至り、吾平に呼び止められた。世事に疎い弥兵衛にとって京の大事に何も出来ないでいたが、ふっと思いついた炊き出しを行うため長屋へ駆け戻った。長屋の者と智里の機転で大黒屋の者にも協力が得られ、西陣の西端になる石像寺で始めることになった。西陣の人々から感謝され大黒屋の名も知れ渡った頃、東町奉行所与力が現れ奉行から感状を下されることを伝えてくれた。更には禁裏からも官位を受領し、大黒屋は自慢の絶頂となった。  盂蘭盆会の始まりに六道珍皇寺に参拝し、精霊が依りつく高野槙を不動寺の祭壇脇に供え一家の冥福を祈った。そして送り火の日、智里と勘蔵と共に三条橋で大文字に手を合わせたが、これからの困難を予見するかのように流れ来た雲の塊が暗赤色の色合いを見せていた。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
エブリスタ
エブリスタ2021/06/17
  • 現在の作品闇の剣士 剣弥兵衛 京の夏越(三)