あらすじ

藤原頼通との関係に煩悶する源隆国(従三位参議・宇治大納言)は,宇治別荘内の樹林にて上人と出会う。上人は清少納言の兄の惨殺された事件に言及する。  清原致信殺害事件は諸々の事件と関連する。一連の事件からは藤原保昌・興福寺勢力と源頼光・頼親兄弟との対立構造が浮き彫りとなる。その対立は藤原道長の悋気をもとに生じたものであった。女人を奪われ狂気する道長は,摂関家に滅私奉公する藤原保輔を本朝一の悪党に仕立てあげた。  保輔を想う女人は,道長暗殺を企てるものの,計画は保輔により阻まれることになる。  道長の悪行を庇い,その栄達を支えるために盗賊の首領を演じ続けた保輔は,愛する女人と主人を守り,壮絶な最期を迎えた。  悋気に駆りたてられた人間をとりまく歴史の真相――それを物語る上人は,旧友としての式神の正体を現し,隆国への奉仕を申し出るとともに見聞録の処分を勧める。  時を一にして悋気に駆られ宇治へと急ぐ頼通のもとに急使の馬が達する。頼通は後ろ髪を引かれながら帰京し,藤原保昌の臨終に立ちあった――  源隆国により真実の記録された『宇治大納言物語』は散逸して伝わらない。その藤原保輔譚には歴史から抹殺された彼の情愛深い一面が描出されていた。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
エブリスタ
エブリスタ2021/12/26
  • 現在の作品悋気――宇治大納言物語――