あらすじ
大麻を使い奉行所を襲おうとした悪霊の女が仕切る浪人集団を、船岡山で討ち果たした弥兵衛、源四郎、清玄は、現世に残された大麻の処分について話していた。思いついたのは幕府が管轄している鷹峯の薬草園へ持ち込むことであり、これには西陣大火の折、炊き出しで感状の話があった奉行所の知辺を頼るしか無いと考えられた。しかしながら、それには闇の出来事を話さねばならなかったが、奉行所与力柿崎の人柄を信じて話した。その結果、闇の出来事を全て判ってもらえたか否かは別にして、ともかく大麻の処分は成されることになった。
一方、この事件で奸計を巡らして大和屋を潰し、朝倉藩の借用証文を取り上げ、それを種にして朝倉藩から金をせびっていた奉行所吟味方与力金丸銀五右衛門。清玄は、悪霊にされた大和屋の紗江から、この借用証文を取り返すように懇願されていた。単身で奉行所役宅に向かった清玄は、老婆に呼び止められ筆頭与力を嫡男に譲り隠居した有沢を手当することになった。手当の効果は直ぐに現れ、感謝された老婆から金丸の屋敷を教えて貰っている。翌日、金丸に対した清玄は、闇雷の発条で金丸の腰を捉え、気を失わせていた。直ぐに手当の素振りを見せ、金丸の屋敷に入り込むと、有沢家での評判が利いたのか、泊まり込みを頼まれた。深更、清玄は掌を金丸の額に当て、不動明王の真言を念じると、悪事を聞き取り借用証文の在処も吐かせた。借用証文を手にした清玄は、洞穴を通り抜け紗江が蛍に身を変えた所に着くと、不動明王の真言を念じ続けた。やがて何処かより現れた蛍に借用証文の焼却を聞くと、火を点け灰にした。すると姿が戻った紗江に、清玄は共に生きることを話した。
紗江を連れて戻って来た清玄に、弥兵衛は智里、勘蔵、源四郎を加え祝宴を開いたが、話題は清玄と紗江から次第に弥兵衛と智里へと移って来た。不動と老人に話した弥兵衛は、祇園会の神輿洗いの帰りに智里へ婚意を告げた。智里と共に田舎へ帰った弥兵衛は、そこに輝くような智里の美麗に納得していた。ただ、洞穴の向こうの此岸の村で智里が見たのは、闇の剣士として霜剣を振るう弥兵衛の真の姿であった。
「このような者と共に生きることが出来るか」と、不動の問いに智里は答えた。
「はい、うちは弥兵衛はんと添い遂げとおす」
この頃、不動から魔魁と称された僧は、大陸を流離っていた。