あらすじ
四五五年、ブリタニアとゲルマン人の間に和平が結ばれた。
血を血で洗う戦が終わり、総督ボルディゲルンが隠遁。東にはゲルマン人酋長ヘンギストを王とするケント王国が成立し、ブリテン島に束の間の平穏が訪れる。
ブリタニア軍の総司令官にして才気煥発の英雄であるアンブロシウスは、間もなく若き妻を娶った。
己と同じローマ貴族の血を引き、星月夜の髪と白玉の肌がたいへん美しい女性であった。
新妻のエオファはゲルマン人の虜囚であった。そして和平の折にブリタニアに引き渡され、成り行きでアンブロシウスの妻となった。
意図せぬ結婚とはいえ冷たい夫では、世間体が悪い――彼はせめて、人前では良き夫を演じるよう努めることした。