あらすじ
身分違いゆえに、一緒になることを許されなかった。想いを伝え合うことなく、互いに別の人と添い遂げた。
しかし、それは本当に幸せな結婚だったのか?
『来世では、君の為に生きたい』
そう言って、彼は波の彼方に命を散らした。
時は過ぎて、二十五年後。
一人の娘が軍港の小さな町に暮らしていたに。優しい祖父と、穏やかで幸せな日々――――。
大切な何かを忘れている、そんな気持ちがしてならなかった。
長い戦争が終わり、新帝が二度と戦争をしないと宣布した。
しかし、国内はまだまだ混乱期にあり、海軍では保守派と革新派が水面下の争いを繰り返していた。
二度と、戦争による悲劇は繰り返さない。
中庸の立場である海軍士官・工藤透匡は、上官から縁談を言い渡される。それは、元上官の友人の孫娘だが――――。
一方、祖父と暮らしていた神崎紬は、突然の見合い話に戸惑う。相手はなんと、紬より二十歳も年上の海軍大佐だという。
だが、祖父の親友である准将の紹介を信じて、紬は縁談相手の工藤透匡の屋敷に向かう。
果たして、紬を待ち受ける運命は――――。