あらすじ
【あらすじ】
弁護士・神崎拓海のもとに舞い込んだのは、連続殺人事件の国選弁護だった。
被告人は一条蒼――三十四歳。無罪を訴えながらも、どこか底知れない静けさを纏う男。
証拠は薄い。だが世間は彼を「クロ」と断じていた。
孤立する蒼に寄り添ううち、神崎は次第に彼の言葉にのみ込まれていく。
妻との距離は広がり、法と正義の境界は溶けていく――。
やがて迎える判決の日、神崎の心に芽生えていたのは、救済か、それとも破滅か。
【登場人物】
神崎 拓海(かんざき たくみ)
三十代半ばの弁護士。
冷静沈着だが、人の孤独に過剰に肩入れしてしまう一面を持つ。
過去に担当した冤罪事件で「救えなかった依頼人」を抱え、その後悔が現在の判断に影を落とす。
妻・恵との関係は冷えつつあり、蒼との出会いを境に人生が急速に崩れていく。
一条 蒼(いちじょう あお)
三十四歳の被告人。
連続殺人事件の容疑者として逮捕され、全ての犯行を否認している。
壁を見つめ続ける癖を持ち、人の感情を観察することで本心を見抜く鋭さがある。
無垢さと底知れぬ不気味さを併せ持ち、神崎の心に深く入り込んでいく。