あらすじ
貧民街の路地裏で、一人の赤子が拾われた。
名をルシアン。感情を持たず、ただ虚空を見つめる彼は、心優しき女性ブレンナの無償の愛によって、初めて「心」を知り、人間として成長していく。
だが、そのささやかな幸せは、貧民街を牛耳る悪徳商人ヴァレリウスの陰湿な悪意によって、無残にも踏みにじられる。
母を救いたい一心で、自ら奴隷となる道を選んだルシアン。二年間の過酷な労働の果てに彼を待っていたのは、残酷な裏切りと、底なしの絶望だった。
全てを奪われ、魔物の蔓延る森に捨てられたルシアン。己の無力さを呪い、灼けつくような怒りの叫びを上げた瞬間、彼の内に眠る、世界の理さえも覆す未知の力が産声を上げる。
それは、火、水、土、風、光、闇の六属性のどれにも属さない、第七の権能――【生命創造】。
絶望の淵で、最後の祈りから相棒の黒猫ネロを創造したルシアンは、その不思議な力で最初の危機を乗り越える。
倒した魔物の知識を吸収するネロの能力。そして、自らの内に宿る、まだ全容も知れぬ巨大な力。
これは、大切な人を救うことを誓った少年が、やがてその「創造」の力で、理不尽な世界に牙を剥き、自らの運命を切り拓いていく物語。
彼の歩む道が、忘れ去られた神話へと繋がっていることを、まだ誰も知らない。