あらすじ

かつて私たちには、世界で一番正しいと信じていた、秘密の儀式があった。 夏祭りの夜、人知れず金魚を救い出し、小川に放つ「金魚姫の救出作戦」。 それは二人だけの、神聖なミッションのはずだった。 数年後。クーラーの効いた部屋で、スマホを眺めるだけの気だるい午後。 遠い祭囃子の音に、ふと、あの夏の記憶が蘇る。 懐かしさから友人に語りかけた私に返ってきたのは、予想もしない一言だった。 「それ、ただの環境破壊じゃん。YouTubeで専門家が言ってた」 正論という名のナイフが、ためらいなく聖域を切り裂く。 痛みも、悲しみもない。ただ、完璧な処理作業のように、思い出が廃棄されていく。 これは喪失の物語ではない。喪失さえ忘れ去られた魂の、冷徹な追放の記録。

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カクヨム
カクヨム2025/08/11
  • 現在の作品人魚姫の追放