あらすじ

主人公は気が付くと、見知らぬ寺の中にいた。 どうしてここに来たのか、自分について、これまでのこと……何もかもを忘れた彼女は妖怪に襲われてしまう。 そこに駆け付け守ってくれたのは、「刃斗」と名乗る少年。 主人公が来てしまったのは、人ならざる者と死者の世界「彼岸」。 生者の「此岸」に戻るため、少女と少年の冒険が始まる。 【以下、角川つばさ文庫用のあらすじ(結末を含みます)】 主人公の少女は気が付くと、不気味な寺にいた。 出口を探していると、そこに住み着く妖怪に食べられそうになる。 妖怪を倒し少女を救ったのは「刃斗」を名乗る少年。 刃斗と話して少女は、自分の記憶が欠落していて、ここに至るまでの経緯、それまでの日常、名前を含む自分のことを覚えていないことに気が付く。 そして、自分が今いるのが妖怪や死者の世界「彼岸」で、生者が長居することは存在の消滅を意味する。元の世界「此岸」に帰るには彼岸駅から出ている汽車に乗る必要がある、と教えられる。 「自分の今までがなかったことになるのは嫌、もっと生きたい」と少女は此岸に帰る決意をする。 彼岸駅に向かうため、街を歩く二人は死者の「フセ」に呼び止められる。彼女は飼い犬数匹とはぐれてしまったらしく、駅までの道を教えることを条件に、犬の捜索を依頼する。 少女と刃斗は妖怪たちのいたずらに難儀しつつ犬を見つけるが、最後の一匹が見つからない。 一旦フセのもとに戻ると、最後の一匹を連れた妖怪が現れた。 これで犬は全部見つかった。フセは礼として、駅までの近道と妖怪除けの傘をくれる。 出発する二人を、犬を見つけた妖怪「了」が止める。 了と刃斗は知り合いで、剣術で競い合うライバルとのこと。 了が二人を……特に刃斗を止める理由はただ一つ。 「刃斗の寿命が近いから」 少女がどういうことかと尋ねると、彼の事情を教えてくれた。 刃斗は平安時代の悪鬼「酒吞童子」仕える鬼。人間の封印を受け、魂は彼岸に閉じ込められ、体は石にされて今も此岸のどこかにある。 刃斗の石は長い年月を経て、そろそろ崩壊しようとしている。それは彼の死を意味するとのこと。 少女を助けているうちにもタイムリミットは迫っている。それでもいいのか___了はそういって刃斗を引き留めようとするが、彼は揺らがず、少女を助けると言い続ける。 了は「またお前たちの前に現れる。その時こそ、お前の一生に意味をくれてやる」と言い残して目の前から消えてしまった。 刃斗のことを知って不安そうな少女は刃斗と気まずくなってしまう。 進んでいるうちに彼のもとに現れたのは、同僚……酒吞童子に仕える鬼の一人。 近くの料理店に酒吞童子がいるから挨拶に来い、と無理やり連れていかれてしまう。 酒吞童子は悪鬼の割には朗らかで、了とは違い二人の旅路を応援する。 「食後の甘味が欲しいが、この店のメニューにはない。近くに饅頭を売っている子供がいるから買ってきてくれ」とお使いをすることになる。 店を出ると、酒呑童子の言った通り饅頭売りの少女がいた。 彼女は妖怪で名前は「ナナシ」。 饅頭の値段が法外でぼったくりだと抗議すると、「これは情報量も含んでいる」と返される。 酒呑童子から駄賃と刃斗の自腹を削って支払うと、彼女は饅頭と「了と会う前に『立花一誠』を訪ねなさい」と残して逃げて行った。 少女はナナシから聞いた名前に引っかかりを覚えるも、酒吞童子のもとに戻ることに。 酒吞童子に饅頭を渡し、立花一誠について尋ねる。 彼が言うには「最近彼岸に現れた死者で、妖怪に物怖じしない度胸のある男」「ちょうど駅への通り道に家を構えている」とのこと。 少女と刃斗の間の気まずさは相変わらずだが、了との戦いに備え立花一誠を訪れる。 なんと立花一誠は少女の祖父だった。 縁者に会ったことで、これまでの記憶と自分の名前を思い出す。 少女の名前は「大木未来」。兄の忘れ物を高校に届けていたところ、引っ越し直後であることが災いして道に迷い熱中症で倒れたのだった。 問題が一つ解決し、祖父から了についての話を聞く。 祖父と了は将棋仲間。彼の話から「刃斗の剣の実力を認めていて、もう戦えなくなることを恐れているのでは」という結論に行きつく。 未来は祖父との最後の話を、刃斗は了との決着をつける決心を固める。 立花一誠と別れ、いよいよ駅にたどり着く。 待ち構えていたのは、もちろん了。 刃斗と了はお互い刀を抜き、決戦を始める。 了は「お前が死んだら、その素晴らしい腕前がなくなる。今まで培ってきた全てが消えて、お前の一生の意味がなくなる」と訴えるが、未来は「刃斗君は私をここまで連れてきてくれた。意味のない一生だなんて言わないで!」と激怒。 それにより、刃斗の剣術しか見えていなかった了の動きに隙が生まれ、刃斗の勝利になる。 約束通り、敗北した了は二人を駅へ通す。 未来はようやく、刃斗に「どうして自分を助けてくれたのか」と尋ねる。 刃斗が封印されている石はとある山にあり、時代が進むごとに削れて原型から遠く離れていた。 その姿を刃斗自身は恥じていたし、目にした人々もそう口にしていた。 ただ一人、その姿をきれいだと言った人間がいた。それが幼いころの未来である。 当時の未来は刃斗の石を磨き、引っ越しまでの短い間だったが大切にしてくれた……それがきっかけで彼岸に迷い込んだ未来を助けたのだという。 とうとう汽車がやってきて、二人は別れる。 汽車を見送った後、役目を果たした刃斗は石の崩壊とともに力尽きた。 未来は病室のベッドで目覚める。 彼岸での記憶が曖昧だが、窓の外を眺め頼もしく憧れた誰かに想いを馳せるのだった。

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カクヨム
カクヨム2025/08/11
  • 現在の作品彼岸の歩き方