あらすじ
宮廷の植物学者として仕える侯爵令嬢、エリアーナ。研究にしか興味のない「変わり者」と疎まれる彼女は、政敵の罠にはまり、国王暗殺未遂という濡れ衣を着せられてしまう。
全ての地位と名誉を剥奪され、たった一人で王国から追放された彼女は、希望を失い荒野をさまよう。
力尽き、彼女が行き着いた先は、足を踏み入れた者は二度と戻れないと噂される、禁断の「龍の森」。
そこでエリアーナは、森の主である伝説の古竜・イグニスと遭遇する。
人間を深く憎悪し、「我が領域を侵した罪は重い」と絶対的な力で彼女を排除しようとするイグニス。
死を覚悟したエリアーナだったが、その類まれなる植物学者としての目は、神話の獣を蝕む「ある秘密」を見抜いてしまう。
それは、彼の美しい鱗を剥がし、生命力を奪う、未知の寄生植物の存在だった。
灼熱の息吹がまさにエリアーナを飲み込もうとしたその瞬間、彼女は命を賭した、あまりにも大胆な提案を口にする。
「その病、私になら治せるかもしれません――」
人間を信じぬ孤高の竜と、人間に裏切られた追放令嬢。絶望の森で始まった取引の先に、二人が見つけるものとは。