あらすじ

「君との婚約を破棄させてもらう」

 子爵令嬢・ミルドレッドは、幼い頃からの婚約者である侯爵家の令息・テレンスからの婚約破棄を以前から覚悟していた。
 彼は笑うことをやめてしまっていたから。そもそも何故自分が選ばれたのかすら、分からなかったのだ。

「破棄についての話し合いだが、一週間後でどうだろうか。家を挟まず学院で行いたい」
「ではこの婚約破棄会場の利用申請書に、希望の日時を記入してください。会場の予約開始はひと月前からですが、その日は丁度、空きがあります」

 ――ここ数年、王都の学院では婚約破棄の嵐が吹き荒れていた。
 特に今年は名だたる貴族の令息令嬢たちが次々に婚約破棄を叩きつけ、9件になる。
 注目を集めたい生徒も多く、ところかまわず行われることを防ぐため、風紀委員会が婚約破棄場と立会人まで用意したくらいだ。
 ここでの話し合いは、俗に婚約破棄裁判とか婚約破棄決闘などと呼ばれている。

 しかしミルドレッドは破棄裁判を受けて立ったものの、真面目な彼が家を通してではなく、直接学院で、と伝えてきたことには疑問を抱いていた。

「堅物と有名なテレンス様がこんなことをするなんて。まさか流行に影響されて……?」

 風紀委員会の副委員長たるミルドレッドは、正しい学院の治安維持と正しい婚約破棄のため、弁護人を付けずに一人会場での話し合いに臨むのだが……。

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アルファポリス
アルファポリス2025/08/11
  • 現在の作品堅物侯爵令息から言い渡された婚約破棄を、「では婚約破棄会場で」と受けて立った結果