あらすじ
今から57年前の1968年12月10日、
東京都府中市で、現金輸送車を襲い、
現金3億円を現金輸送車ごと
強奪すると言う事件が発生した。
その現金は東京芝浦電機の従業員に 支払うためのボーナスであった。
その額が3億円であったのだ。
当時、現金輸送車は、銀行員が3人から5人で各企業にボーナスや毎月の給料を
運んでいたのだ。
私は、その犯人と面識があった。
彼は、早稲田大学商学部を中退していた。
私がなぜ知り合ったかと言うと、
私が富士輸送機株式会社に勤務していたとき、彼は富士輸送機株式会社を新卒として就活をしてきたのだ。
私は当時、富士輸送機株式会社人事部の課長であった。
私は彼と知り合い、彼の人物に
惚れたのだ。
私は彼を採用したいと思った。
そのために彼を私の自宅に宿泊させ、
神戸、大阪、京都を観光させたのだ。
そのとき、一緒に彼を案内したのは、
妻の静子であった。
彼は私の申し入れにひとつ返事で
応じてくれた。
その彼から50年ぶりに手紙が
届いたのだ。
私はその手紙を読んでびっくりした。
むしろ、なぜ彼のような素晴らしい
人間が、そのような大それたことをした
のだろうか。疑問に思った。
私は彼の話は、作り話であろうと思った。
いや、彼がそんなことをするはずがない。
手紙を読み終えた後でも、
その話を今でも信じてはいない。
彼の作り話で、妄想であろうと
思っている。
読者の皆さんに私が小説を執筆する
ことによって、物語として
紹介しようと思ったからである。
この物語は、フィクションなのか、
真実なのか、私にはわからない。
なぜなら、今もって、
彼の話を信じていないからだ。
それでは、彼の物語の始まりである。
令和八年八月十日
小説家 蔵屋日唱
自宅書斎にて