あらすじ
高校の放課後、物理準備室で顕微鏡を覗いていた僕は、他と逆方向に回る不思議な粒子と出会う。転校生の穂乃果はそれを「17秒前の君」と呼び、自らは「17秒先から来た」と語る。粒子は「時間の欠片」で、宇宙のどこかで壊れた時間が地球に流れ着いたものだという。やがて僕らは肉眼で星屑のような欠片を見つけ、集め始める。だが穂乃果は「君は17秒後には私と出会わない人生を選ぶ」と告げ、やがて僕の前から消える。残されたのは星屑を集めたガラス瓶と「17秒先で待っている」という言葉だけ。
三年後、物理を学んだ僕は時間が螺旋構造で、異なる時間軸が並存することを確信する。星屑はその橋渡しであり、僕の周囲にだけ現れる。大学卒業の日、母校の屋上で瓶の星屑が僕を包み、時が止まったように穂乃果が現れる。「一緒に17秒先の銀河へ」と誘う彼女と手を取り、僕らは光の渦に包まれて時間の螺旋を駆け上がる。
辿り着いたのは宇宙空間。螺旋状の光の川が時間の流れであり、地球はその一部だと穂乃果は語る。愛は時間を超える最強の重力だと知り、僕らは銀河を巡る旅を続ける。やがて、地球では僕の失踪が報道されるが、残された卒論の末尾には「愛は時間を超越する。17秒先の銀河でそれを証明する」と記されていた。
僕らは今も星から星へ、愛の重力に引かれながら旅を続けている。愛がある限り、不可能はない。きっと誰の周りにも星屑は漂っているはずだ。君だけの17秒先の銀河を探して、いつか一緒に旅をしよう。