あらすじ
如月玲央(28歳)は、都会の片隅で静かに暮らすフリーのカメラマン。
特別な過去もなく、穏やかで人当たりの良い性格。だが、ある夜、目を覚ますと手が血で濡れ、見覚えのない場所に立っていた。
記憶は途切れ途切れで、夢と現実の境界が曖昧になる。
その翌日、ニュースは冷酷な殺人事件を報じた。
被害者は、前日に偶然出会った人物――だが、玲央はそのことを誰にも言えない。
なぜなら、自分の記憶の中に、犯行の断片が混ざっていたからだ。
やがて第2、第3の事件が発生。
全ての被害者は玲央が過去に一度だけ関わった人物であり、彼の中には説明できない感情が芽生えていく。
それは恐怖ではなく、奇妙な高揚感。
刑事・九条一真は、玲央の周囲に漂う異様な空気に気づき、密かに彼を監視する。
しかし九条はまだ知らない。
玲央の中には、もう一つの何かが棲みついていることを。
それは声もなく、合図もなく、ある瞬間に自然と彼の身体を支配する。
そして、標的を見つけると容赦なく命を奪う。
現実と記憶、罪と無意識の境界線が崩れていく中、玲央は次第に――
自分が“そいつ”と同じ景色を見ていることに気づき始める。
最後に残るのは、真実か、それとも“何か”との完全な融合か。