あらすじ
北海道洋上風力発電所。地上152メートルの白い巨塔で、ロープ一本に命を預けて働く男がいた。夏嶋海斗──世界中の現場を渡り歩く孤高の技術者。三年前の事故で仲間を失った彼は、もう誰も信じないと心に決めていた。
そんな彼の「目」となったのは、地上の管制室で働く気象予報士・風見美帆。インカム越しに交わされる言葉は、やがて二人の心を繋いでいく。データには表れない「風の癖」を読む彼女の不思議な力と、空中での完璧な技術を持つ彼。声だけで結ばれた信頼関係は、いつしか深い絆へと変わっていた。
だが、観測史上最強の爆弾低気圧が発電所を襲う。制御不能となった風車を救うため、海斗は猛吹雪の中へ飛び立つ。視界ゼロのホワイトアウト状態で彼を導くのは、美帆の声だけ。
「私があなたの風になる」
極限状況の中で試される二人の絆。果たして海斗は嵐を乗り越え、新しい人生の風を掴むことができるのか。