あらすじ
光の届かない水深80メートル。メキシコの聖なる泉セノーテで、黒瀬凪は一人危険なケーブダイビングを続けていた。五年前、親友を失った罪悪感に苛まれ、死と隣り合わせの深海だけが彼の心を癒してくれる。
地上で彼を支えるのは、ダイビングショップ『CASA DEL MAR』を営む千景翡翠。夫を海で亡くした彼女もまた、深い傷を抱えていた。二人の間に言葉は少ない。だが、凪が潜るたび、翡翠は水面でガイドラインの微かな振動を感じながら、彼の無事な帰りを祈り続ける。
そんなある日、凪は前人未到の水中洞窟で古代マヤの神殿を発見する。だが突然の水中地震により、彼は地底深くに閉じ込められてしまう。残された酸素はわずか3時間。絶望的な状況の中、彼が頼れるのは一本のガイドラインだけ。
モールス信号で愛を伝え、ガイドラインに想いを託す凪。その信号に気づいた翡翠は、リブリーザーを装着し、命懸けの救助に向かう。水深80メートルの古代神殿で、二人が見つけたものとは──。