あらすじ

過去、現在、未来。 下界では三つの世に生まれつき星の痣がある子供が誕生する。 その子供には世に現れる降三世明王に体を委ねこの世に起こりうる災いから救うという役目があった。 ところが現在から143年前に人知れず「王生千世《いくるみせんぜ》」という青年の体を借りていた降三世明王は熊に追われて逃げてきたという、下界の女性に恋心を抱いてしまう。 そして相手の女性「烏丸桜《からすまるさくら》」も不思議な魅力を持った千世に惹かれていく。 因果関係は分からないが時を同じくして降三世明王は災いの根源を取り逃がしてしまう。 災いの根源とは、降三世明王に踏みつけられた大自在天の宿怨であった。 彼もまた人間の心に潜んで三つの世を渡り歩いていたのだ。 143年後、降三世明王が再び下界に現れる。 此度は獣医師で猟友会の若きハンターである「王生三世《いくるみさんぜ》」という青年の体を借りて過ごしていた。 三世は春の熊追いで入山していた日に登山道で怪我をしていた女性、「烏丸《からすまさくら》」と遭遇する。 思い出される143年前の記憶。 彼女との出会いは偶然なのか、それとも縁なのか。 降三世明王は忘れられない桜への想いを目の前に現れたさくらに重ね合わせていた。 しかし別れも告げず桜の前から突然姿を消し、未来の約束を果たせなかった自責の念にかられ素直に話すことができない。 一方のさくらは最初の出会いは最悪だったが三世に少しづつ心を許すようになる。 不思議な心境の変化だった。 いつの世も降三世明王現れる所に災いあり。 不穏な空気を察知したのか現在には他の明王たちが目覚めていた。 正に的中。 三つの世において降三世明王の宿敵とも言える大自在天が 現在で一人の人間の心の中に潜んでいた。 輪廻し貯めこんだ宿怨を放出し降三世明王への復讐を企てていたのだ。 その人物は身近にいた。 以前よりさくらに恋心を抱いていた「在原朝臣《ありはらともおみ》」という職場の上司だった。 在原は気づかないうちに大自在天にその恋心さえも本人の気持ちとは裏腹に愉快に弄ばれていた。 ここに三人の過去から現在、未来へと運命の糸が繋がっていく。 三つの世を愛おしい人にいつか会えることを祈り生き抜いた「桜」の物語でもある そして、もう一つ。 世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし              在原業平朝臣 202●年 春 何も知らず桜を愛で長閑に現在を過ごす下界の人間。 地球上に存在する生命体を一掃するような天変地妖が起きるかもしれないとは考えてもいない。 登場人物 王生千世《いくるみせんぜ》…現在から143年前に存在していた降三世明王の宿主。陰陽師。 王生三世《いくるみさんぜ》…143年後の現在に存在している降三世明王の宿主。北海道で獣医師をしている。狩猟免許保有者。 烏丸さくら《からすまさくら》…三世と最悪な出会いから徐々に彼に惹かれていく。学芸員。彼女の家系に秘密がある。 王生剣《いくるみけん》…現在に現れた不動明王。仏像学芸員。一家の大黒柱。 王生宝《いくるみたから》… 現在に現れた軍荼利明王。脳神経外科、脳神経内科担当の医師。 王生煌徳《いくるみあきのり》… 現在に現れた大威徳明王。酪農学園の大学生。 王生大耶《いくるみだいや》…現在に現れた金剛夜叉明王。刑事。 在原朝臣《ありはらともおみ》… さくらの上司。訳あって現在母方の性を名乗っている。 御手洗炎《みたらいほのお》…現在に現れた烏枢沙摩明王。レスキュー隊隊長。 クリスさん…北海道犬。王生家の一員。

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カクヨム2025/02/02
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