あらすじ
「人間は、石器時代の感情と、中世の社会システムと、神のごときテクノロジーを持つ──では、我々は何を選び取るべきか?」
2070年──寄生虫から生まれた医療ナノマシン「NANOTRYPA®」が、人類史を塗り替えた。
開発の立役者は、わずか22歳でノーベル生理学賞を受賞した寄生虫学の天才、アイダ・リヴィングストン博士。
そしてその背後には、世界中の製薬企業を統合し、〈最も倫理的なCEO〉と呼ばれる男──サミュエル・クローニスがいた。
だが授賞から一年後、アイダは突如クロノス社を去る。
理由はわからない。彼女は沈黙を貫いている。
クローニスは彼女を庇いながら、同時に次世代型ナノトリパ《αシリーズ》を発表し、世界は再び熱狂の渦へ。
そして訪れる、全人類が感染する未来。
やがてそれは、病を消し去る奇跡ではなく──人類を選別するための「最も倫理的な裏切り」となる。
科学の勝者は誰か。
倫理の敗者は誰か。
人類は、救済か破滅か、その選択を迫られる。