あらすじ
『記憶の発酵と言葉の死骸と風景の裏側』は、語られなかったものたちへの静かな手紙である。
記憶は保存されず、時間とともに変質し、酸味を帯びて語りのかたちを変えていく。
言葉は死に、意味を失っても、死骸として残響を放ち続ける。
風景はただの背景ではなく、誰かの夢や沈黙を抱えた語り手となる。
本詩集は、「記憶」「言葉」「風景」という三つの断層を辿る全二十編からなる。
断章形式と語りの揺らぎ、音韻の流れを統一しながら、過去と現在、語りと沈黙が交錯する詩的世界を描き出す。
瓶詰めの午後、辞書の墓場、廃駅にて——それぞれの風景に、記憶の匂いが染み込んでいる。
語られなかった感情、書かれなかった手紙、声にならない母音。
それらを拾い集め、撫で、並べ、語り直すことで、詩人は自らの声を探していく。
不完全な言葉の残骸から、新たな語りが静かに芽吹く。
沈黙の余白に語りが芽吹く瞬間を、ぜひこの詩集で感じてほしい。