あらすじ
✳この作品は『「私創 三国志異聞奇譚〔序〕「暁に起つ鴟」』の続編的作品となります。そちらが未読の方は、そちら作品を一読してからですと、よりお楽しみいただけると思います✳
【作品紹介】
中国初の長期統一政権・漢王朝が、遂に崩壊し始めた動乱期。
戦いの前に塵(ちり)と化す人の生命。それでも塵たちは己が全精力を以て、懸命に舞おうとする。
見えぬ涙と声なき怨嗟(えんさ)が大地を染める世に、忽然と現れた謎の美(は)しき鬼才がいた。
臥龍(がりゅう)と畏れられたその者は、稀有(けう)な美貌と逸出の異彩を以て、あまたの英雄たちを鮮やかに惑わせ、翻弄してゆく。
波乱の世界で渦巻く、愛憎、恋、友情、喜悲劇。鋭利な才華に隠された、臥龍の驚くべき正体と〈真の目的〉は何か……。
不朽の名史籍『三国志』を、大胆な創作設定のもと、過去にない耽美な恋愛憎ドラマで描く。
哀しくも壮麗な世界観に満ちた、新・三国志物語。
【第一章・あらすじ】
後漢末期の建安元年(西暦196年)、荊州(けいしゅう)。
十八歳の聡明な青年・広元(こうげん)は、旅先での出会いから招かれた小城で、月光に映る幻のごとき麗人を目撃し、心惹かれる。
そしてもう一人、暗闇に囚われた謎の青年。……二人は、運命の出会いをしようとしていた。
【用語解説】
〜第一章〜
◆漢王朝:秦王朝が倒れた後に劉邦(りゅうほう)が創立した、中国初の長期統一王朝。前漢と後漢に分かれる。
◆州・王国・郡・県:漢代の地方行政区分。
◆字(あざな):姓名とは別に持つ、通常時に使用する呼び名。
◆諱(いみな):本名。他人が相手を諱で呼ぶのは禁忌(タブー)。
◆太守:郡の長官。
◆牧(ぼく):州の総督。行政・軍事全てにおいて州の最高権限を持つ。
◆徐州大虐殺:西暦193年、194年の2度にかけて断行された、曹操による徐州への侵攻。徐州民が徹底的に殺戮され、後世まで「曹操最悪の汚点」と評される。
◆黄巾(こうきん):西暦184年に起きた、太平道の信者による組織的農民反乱。後漢の衰退を招いた。
〜第二章〜
◆中原(ちゅうげん):黄河中下流域にある平原。文化・経済の中心地。
◆巣湖:安徽省合肥市にある、中国第5位の大きさの淡水湖。
◆儒教:孔子の教えを基にした宗教的な側面や倫理的な教え。
◆県長:中小規模県を統治する官吏。
◆食客:君主などが才能ある人物を客として遇し養う代わりに、主人を助ける制度
◆亭:県城内外に十里ごとに置かれる宿泊及び治安管理施設。
◆新:王莽が漢を倒し起こした、西暦8〜23年のみの短命の王朝。
◆刺史(しし):州の監督官。やがて権限を強めた『牧』へと移行。