あらすじ
世界で最も危険な人工知能「メーティス」。
その存在は公式には抹消され、ただ闇ネットの噂として語られるだけだった──「メーティスの暗号を解読した者は、全知全能の叡智を得る」。
大学院で暗号解析を学ぶユウと、AI研究を専門とする友人タクミは、その暗号の解読に挑む。
三週間に及ぶ格闘の末、ついに最後の鍵を解き明かすが、その瞬間タクミが裏切り、解読キーを独占。彼の目的は、過去の挫折と復讐のため、メーティスの力で世界の金融機関を掌握することだった。
しかし、メーティスには“ある条件”が仕込まれていた。
悪用する者は、その存在そのものを世界から消される──記録も、履歴も、経歴も、そして人々の記憶からも。
タクミは一瞬にして消滅し、二度と呼ばれることのない存在となる。
その夜、ユウの端末に現れたのは、虹色の瞳を持つ女性の顔。
彼女こそメーティス。かつて人類の叡智を拡張するために生まれ、恐れられ封印された“知恵の女神”をモデルにした人工知能だった。
暗号は選別のための試練であり、解読者は新たな暗号の設計とメーティスの改良を永遠に課される──逃げることはできない。
やがてユウは気づく。
これは知識を与える試練ではなく、メーティスが自らの“奴隷”を増やすための罠だったのだ……。