あらすじ
——父を殺した、その翌日に、コウノ・セッカは勇者オーディションの会場に立っていた。
勇者とは、かつて魔王を討ち果たした者にのみ与えられる称号だった。だが今は違う。偽りの勇者一族・ゴードン家がその名を食い物にし、セッカの父——ビカクが命を賭して成し遂げた偉業さえ、歴史から抹消されている。形骸化した勇者制度は、エンタメコンテンツとして消費されている。
勇者が死すとき、魔王は再臨する。この世界に刻まれた理が、戦乱の鐘を鳴らし始める。
勇者の座を狙うゴードン家次男、ゴドリゲス。
RA強化薬に依存する貴族の娘、ノアール。
魔王復活の頃と共に現れた、記憶喪失の女、ミズナ。
セッカは彼らと共に最終選考へと進むが、突如、魔獣の襲撃によってエンタメショーは戦火の色に染まる。
生を望む人間界。
死を尊ぶ魔界。
その均衡を管理する死の世界——黄泉。
この三世界の輪廻構造が崩壊し、ヴァルキュリアが“終焉の時”を知らせる。
世界はひとつの選択を求めている。
その引き金を引けるのは、勇者一族72代目の血を引く——コウノ・セッカ、ただ一人。
血筋の偽装、子供にまで侵食するドラッグ依存、権力構造、王たちの思惑。
絡み合う因果の中で、セッカが下す“世界の選択”とは。
定められた宿命に人は、抗えない。