あらすじ
家族とは何か。
血のつながりか、愛情か、それともただの記号か。
私は長い間、その問いに答えを持たずに生きてきました。
いや、答えを持つことすら許されないと思っていたのかもしれません。
昭和43年に生まれ、平成の終わりまでを駆け抜けた私の人生は、
一見すれば平凡な男の歩みかもしれません。
けれど、その内側には、誰にも語られなかった記憶があります。
語れば誰かを傷つけるかもしれない。
語れば自分が壊れてしまうかもしれない。
そんな思いで、長い間、沈黙を選んできました。
けれど、60年近く生きてきて、ようやく思うのです。
語ることは、過去を裁くことではなく、
自分自身を赦すための行為なのだと。
この物語は、私・山田剛の実話です。
誰かに理解されたいわけではありません。
ただ、あの時の自分に、そして今も迷い続ける誰かに、
「それでも生きていい」と伝えたくて、筆を取りました。
家族に傷つけられた人へ。
自分を責め続けている人へ。
そして、過去に置き去りにされたままの“子供の自分”へ。
これは、私の記憶の再生であり、
生き直しのための物語です。