あらすじ
触れた対象の時間を巻き戻す【万象回帰】。神々が失敗作として世界から捨てたその呪印を、僕は生まれつき右手に宿していた。壊れた物は元通りに、枯れた花は咲き誇る頃に。だが、それは祝福などではない。ひとたび制御を誤れば、大切な人との温かい記憶すら、出会う前の『無』へと還してしまう、ただ忌むべき呪い。だから僕は、誰とも関わらず、学園の片隅で息を潜めていた。卒業と共に、この世界から静かに消え去る日を待ちながら。
―――そんな僕の灰色の日々に、一人の少女が足音もなく現れた。
学園一の才女と名高い、エリス・フォン・クラウン。「無限の未来を視る」と謳われる彼女は、その瞳に深い絶望を宿し、僕にこう告げたのだ。
「一年後、この世界は終わる。何をしても、変えられない未来なの」
全てを諦めた彼女と、全てから逃げ出したかった僕。
二人が出会う時、絶望の運命に抗う物語が、始まる―