あらすじ
【あらすじ】
――母の本当の名は、別人だった。幾重にも名前を変え、時代と国境に翻弄されて生きた母の、壮絶な過去とは?そして、実家に隠された闇とは?
京王線百草園駅から続く急坂の先、東京の喧騒を忘れさせる多摩丘陵の里山に佇む古びた一軒家。主人公・渥美宏樹は、母・真理の突然の訃報を受けて10年ぶりに帰宅すると、そこには見知らぬ二人の子供たちが――しっかり者の中学生・彩花と、わんぱくな小学生・健人。
「ここは私たちの家」――宏樹を拒絶する彩花。しかし、台風の夜に一家を襲った危機を共に乗り越える中で、彼らの間には確かな絆が芽生え始める。宏樹は、家の売却話に揺れながらも、この家と“新しい家族”を守ることを決意するのだが…
そんな中、宏樹は母の遺品から一冊の古いパスポートを発見する。「黒田百合子」という見知らぬ名のそのパスポートには、若き日の母と瓜二つの顔写真が。 母は何を隠していたのか?
さらに床下から見つかった「ながせみさき」と記された古い名札。屋根裏に眠っていた8ミリフィルムには、パスポートの女と幼い少女の姿が記録されていた。母が隠し続けた過去の断片が、宏樹をさらなる謎へと誘う。
そして、全ての謎が一つにつながる時、あなたは衝撃のラストに涙する――。
【登場人物紹介】
渥美宏樹(あつみ ひろき)
本作の主人公。42歳。母・真理の死をきっかけに10年ぶりに帰国し、図らずも彩花と健人の保護者となる。冷静沈着に見えるが、家族のためなら熱くなる情熱家。母の遺したパスポートの謎を追い、自身のルーツと家族の秘密に迫っていく。
渥美彩花(あつみ あやか)
中学3年生。真理の養女。しっかり者で責任感が強く、弟の健人を気にかけている。突然現れた宏樹に当初は強く反発するが、共に困難を乗り越える中で徐々に信頼を寄せていく。実母・美咲との再会に複雑な想いを抱く。
渥美健人(あつみ けんと)
小学6年生。彩花の弟で、真理の養子。人懐っこく好奇心旺盛。家のDIYや「七不思議」の探求に夢中になる。
渥美真理(あつみ まり) / 黒田百合子(くろだ ゆりこ) / 吉田智子(よしだ ともこ)
宏樹の母であり、彩花と健人の養母。物語開始時点で故人。穏やかな遺影とは裏腹に、複数の名前を持ち、謎に包まれた過去を持つ女性。彼女が遺したパスポートと数々の秘密が、物語を大きく動かしていく。