あらすじ
「僕の描いた絵が本物になったらいいのに」
そんな夢を抱く絵描き好きの少年・織部緑光(おりべ・ろくみつ)は、
魂の“色”が見えるようになった時代の日本に生まれる。
情熱の赤、ひらめきの黄、冷静な青――
優秀とされる“御三家カラー”に比べ、“臆病”と評されがちな「緑色」の緑光だったが、
幼い頃は色に縛られることなく、絵描きになる夢を追いかけていた。
一方その頃、都心では感染症のパンデミックとネット社会の混乱をきっかけに、
放置されたグラフィティから夜な夜な這い出す“落画鬼(らくがき)”の存在が公然となっていく。
その悪鬼に唯一太刀打ちできるのが、魂の色を力に変え、
摩訶不思議な文房具を武器に戦う――浮夜絵師(うきよえし)。
増え続ける落画鬼。
危険を顧みず戦う絵師たち。
そして、それを“匿名の正義”が誹謗するネット社会――
夢を失っていた緑光の目に、ある日、SNS上の一文が突き刺さる。
「すべての絵師を処せ」
それは、誰かの正義であり、誰かの終わりを意味していた。
――これは、魂の色に翻弄される少年と、それぞれの想いを抱えた者たちの“色”が交差する、ひとつの群像劇。