あらすじ
主人公:如月 芽唯(きさらぎ めい) — 17歳、高校2年。声は小さいが観察眼が鋭い女子。趣味は匿名で書く短い詩と、小さなボランティア活動。
舞台:近未来の都市、SNSプラットフォーム「Muse」が日常に深く浸透している世界。「Muse」はユーザーの“理想化アカウント”を作るAI機能を持ち、匿名ハンドル(アカウント人格)が現実世界での評価に影響を与える社会になっている。
ある日、芽唯の同級生が突然「誰も私を覚えていない」状態に陥る。だがその子のMuseアカウントだけは炎上しており、アカウントの言動が現実世界の“ある出来事”を引き起こしている。芽唯はその矛盾に気づき、調べ始めると、自分の周りで似た現象(「記憶の欠落」「人格のすり替わり」「影が薄くなる」)が連鎖していることを発見する。
核心:この現象は「アカウント症候群」と呼ばれ、個人の“承認欲求の偏差”とAIの誤射(Museの人格分割)が限界点を越えたときに発生する――という仮説に辿り着く。芽唯は「誰も覚えていない人」を救うため、自分の匿名的な詩アカウント(=“夜のノクターン”)を敢えて表に出し、失われた人達の“実在”を可視化しようとする。
物語の構成:各巻ごとに“ひとつの症例”を解くミステリ形式(例:あるヒロインが子供の頃の「ある日」だけを失っている/双子の片方だけが現実から消えている/過去の自分の記憶がMuseに乗っ取られている…)。巻を追うごとに芽唯自身が“どの自分を守りたいか”を選ばされ、最終的にはMuseを作った企業と「誰の記憶を守るのか」という倫理的選択へと到達する。