あらすじ
「大家さん、大家さん、『神曲』って知ってますか」
「誰かと思えば、ことぶき神楽さんじゃないか。そんなに慌てて、どうしたってんだい」
「いえね、その『神曲』ってぇ話を落語にしようかと思いましてね。誰かに怒られやしないかと心配なもんだから、大家さんに聞いておこうと思いまして」
「そうだな、『神曲』と言えばダンテ・アリギエーリさんの作品ですから、ふざけるなと思うお人はいるかもしれませんな」
「ダンテさんに怒られますか」
「いや、ダンテさんは十四世紀初めのイタリアの詩人さんだから、怒られることはありませんよ。古典を愛するお人に『けしからん』と言われるかもしれないということです」
「古典を愛する人なんていますか」
「ああ、それじゃ、それ。そんなことを言ってはいかん」
「すみません、正直なもんで。怒る人はいるかもしれないが、まあ大丈夫ってことでしょうか」
「どう聞けば、そのような答えになるのか不思議ではあるが、まあ、ことぶきさんが書きたいと言うのなら、仕方あるまい」
「ありがとうございます。そんじゃ、さっそく書いてきますね。書いたら持ってきますから、読んで感想くださいよ、約束ですよ」
ことぶき神楽さん、そう言うと大家さん家を飛び出していきました。