あらすじ
山奥の小さな神社に暮らす**神代美詞(かみしろ みこと)**は、十六歳の高校一年生。
幼い頃から、他の人には見えない存在――青年の姿をした神様、**貴仁(たかひと)**を見ることができた。
貴仁は静かに告げる。
「神は人を愛してはならぬ。それは呪いだからだ」
けれど、美詞は彼に惹かれてしまう。
境界の向こうにいるはずの彼もまた、少しずつ心を揺らし始めていた。
そんな二人の前に、人の心の澱〈おり〉から生まれる“祟りの芽”が現れる。
芽は黒い水や影となって人々に災いをもたらし、放置すれば境界を越えてしまう。
神は祓うことができるが、それは人の感情を切り捨てる行為でもあった。
「人の手で流した水は、二度と濁らない」――
そう信じ、美詞は友人や村人の心を解きほぐし、芽を摘んでいく。
しかし、神と人では寿命も世界も違いすぎる。
恋の代償は、やがて美詞の命と心を試すことになる。
それでも彼女は、今日もお供え物を持って石段を登る。
それは祈りであり、恋であり、そして――別れに向かう約束の道。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。