あらすじ
才色兼備にして完璧な公爵令嬢、イザベラ・フォン・ヴァレンシュタイン。
彼女の人生のすべては、婚約者であるアルフォンス王子の完璧な妃となるためにあった。寸分の狂いもなく淹れた紅茶、先回りして処理した政務、夜会で賞賛を浴びる立ち居振る舞い。そのすべてが、未来の国母たる自分の価値そのものだと信じて――
しかし、その完璧な世界は、一人の聖女リリアの登場で音を立てて崩れ去る。
「君は正しい。だが、心がない」
王子から突きつけられた、残酷な婚約破棄の言葉。
地位も名誉も、積み上げてきた人生の全てを奪われ、辺境の領地へと追放されるイザベラ。降りしきる冷たい雨の中、彼女の心を占めるのは、絶望と燃え盛るような怒りだけだった。
「見てなさいまし……必ず、あなた達を見返してやりますわ!」
シルクのドレスは泥に汚れ、手にするのは宝石ではなく一本のクワ。
プライドをズタズタにされながらも、ただ生き抜くために、そして復讐を果たすために、イザベラは立ち上がる。護衛として付けられた無口で腕の立つ元騎士カイルに呆れられ、村人たちにドン引きされながらも、なぜか頭に流れ込んでくる「前世の知識」だけを頼りに、彼女の無謀な領地改革が始まった!
ただ生きるためだったはずの畑仕事が、やがて王国の食糧危機を救う鍵となり、
復讐心から始めた特産品開発が、意図せず大陸の経済を揺るがすことになるなんて、この時の彼女はまだ知らない。
そして気づけば、隣にいる無口な騎士様の視線が、やけに熱を帯びてきて……?
これは、全てを失った令嬢が、本当の豊かさと幸せ、そして不器用で温かい愛を見つけるまでの、壮大なる逆転の物語。