あらすじ
大陸の極東に位置するとある島国、今の国名は三文字、だがかつては、そう、大戦前は二文字だったという。
国際社会では孤立無援で大半の国々と国交を持たない、そんな国に一人の異邦人少女が訪れることになる。
留学ビザを従え、遥か西方の小国から、何日も何日もかけてようやくたどり着いた矢先、彼女は幾多の災難にさらされながらも、出迎え人の少年と無事合流することになる。
伝え聞いていたかつての大いなる繁栄など見る影もなく、貧困にあえぐ一般庶民の、腐敗した政権に対する憎悪の念が渦巻く暗い社会を目の当たりにして、彼女の気持ちは落ち込んでいくのだが……、この国が内包する霊妙な香りを少しずつ嗅ぐにつれ、自身の内に潜む好奇心が抑えきれなくなっていく。
いや、そもそも彼女はただ単に留学の目的だけで、遠路はるばるこんな何もかもを失った国へと足を運んだのか?
当面そんな彼女の世話役を担わされることになった、出迎え人の少年は大のオカルト嫌い、胡散臭い迷信めいた逸話やスピリチュアルな話題にやたら食いつく少女に対してフラストレーションを溜めていく。
入国してから散々な目にあわされ続けた少女だったが、何とか無事少年と同じ学園に留学生として身を置くことになり、一旦は渡航目的の大義名分を果たすことになる。
が、しかし、一難去ってまた一難、宿泊先と学校の行き帰り、いや、思い返せば入国の時から、何者かにつけられていることを遂に確信する。
そして、彼女と彼が追跡者と遭遇した瞬間、見えない運命の歯車が一気に回り出した。
自分のことを魔女と嘯く異邦人少女。
超常現象的なことを迷信や気休めと決めつけて譲らない少年。
誰も知らない組織から出奔し、当てもなく彷徨い続ける不思議かつ恐ろしい、美しき謎の追跡者。
そして……、更なる出会いが更なる混乱を巻き起こし、次第に世界が持つ真の姿が露わにされていくことになる。
何千年もの長きにわたりこの世界から呪われ続ける宿命を背負わされた、青春を諦めさせられた若者たちが紡ぎ出す霊妙なる物語が、いまここに始まろうとしている。
世界は誰の味方なのか?
何が真実で何が虚構なのか?
誰一人、知る由もなし、それ故に真実はオカルトより霊妙なり。